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8月号
 
 

無力な人間

 先月、西日本を中心に記録的な豪雨をもたらし、甚大な被害が発生しました。現在も尚復旧作業が続いていることと思います。この石川県も例外でなく、加南を中心に大きな被害がありました。そこで石川県の急流として知られる手取川の過去の水害を簡単に調べてみました。

 明治14年5月:前年の大雪の融水と5月の降雨により各所で堤防が決壊し、粟生村(旧寺井町)で死者22名、流出家屋10戸、浸水家屋80戸にわたる被害が発生。
 明治29年8,9月:8月1日の豪雨により手取川をはじめ各河川が増水。死者73名、負傷者147名、床上浸水8823戸、床下浸水2120戸。さらに9月6日の豪雨により大洪水。死者7名、負傷者19名、全壊家屋323戸に及んだ。
 昭和9年7月:前年が大雪で、7月10日の豪雨により残雪が融けだし洪水を発生させた。死者97名、行方不明者15名、負傷者35名、家屋流出172戸、床上浸水586戸を記録。手取川史上最大の被害であった。
 平成10年9月:台風7号により豪雨となり、手取川の鶴来観測所で警戒水位1.4mを越えピーク水位3.6mを記録した。

 この記録を見ると、昭和9年の洪水以降大きな被害は出ていない。これは昭和55年に手取川上流に手取川ダムが完成したことにより洪水調節ができているものと思われます。
石川県は台風や地震などの被害が少なく災害の実感があまりありませんが、今回の豪雨は漠然とではあったが不安を感じざるを得ませんでした。
 自然現象による災害は防ぎようがなく、人間の無力さを感じさせられました。