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2月号
 
 

内視鏡検査って?

 

 内視鏡検査といえばまず思い出すのが、苦しい胃カメラ検査ではないでしょうか。ところが現在、吐き気の少ない内視鏡としてテレビでも芸能人が良く飲んでいる経鼻内視鏡やカメラと光源と送信機能を錠剤程度の大きさのカプセルに入れ込んだカプセル型胃カメラが話題となっています。
 カプセル型胃カメラなどは薬のように飲み込み、胃の中を転げ落ちる間に写真を撮り画像を転送するもので、カプセルは最後に排便されてサヨナラとなります。普及すると随分楽に検査ができるのかもしれません。

 さて、急に今回のコラムが「なんで内視鏡検査なんだろう」と思われた会員の皆さんも居られると思いますが、臨床工学技士が受験する事の出来る資格の一つに日本消化器内視鏡学会の認定試験があるからです。この試験の受験資格には実務経験も必要となるためか、私が受験した5年前にはまだ臨床工学技士の受験者が少なかったようで、面接官(面接試験もあります)に「臨床工学技士に受験資格があるのか」「臨床工学技士が何をするの
か」と、普通の受験生と違う変な質問をされて戸惑ってしまいました。今は多少向上したとはいえ、そのころはまだまだ臨床工学技士への認識度が低かったのかもしれません。

 しかし、現在の内視鏡検査や処置術には電気メスやレーザー、超音波など多くの電子医療機器が使用され、技師の電子知識向上も求められています。そこで今回は臨床工学技士が関わることのできる、面白い分野の内視鏡検査の一端をご紹介いたします。

 通常の消化器内視鏡検査は上部消化管と下部消化管に大別され、上部消化管検査は通常「胃カメラ」呼ばれ、食道から十二指腸までを検査します。
下部消化管検査は「大腸カメラ」呼ばれ、肛門から上行結腸(盲腸も)までを検査します。
器材はどちらもスコープ(現在ビデオスコープ型が主流)、モニタ、ビデオシステム、光源装置、吸引器などが使用されます。
 この中でスコープが通常「カメラ」と呼ばれるもので、光源装置により照らし出した部位を数万本のグラスファイバーによって構成されたカメラで映し出し、ビデオシステムを通して画像をモニタに映し出します。
 カメラには鉗子の通る穴もありカメラの出し入れをする事なく生検や処置などを行うことができます。

 さて、未だ胃カメラを行ったことがない方のために、私がつい先日受けた胃カメラ検査の様子を実体験でご紹介しましょう。
まず内視鏡室に入ると昨夜から何も食べていない胃の中に消泡剤と咽頭麻酔剤を流し込みます。
 私の病院では咽頭麻酔剤を凍らせて、味も付けて飲みやすくはなっていますが・・・それでも苦くて気持ちが悪いんです。う、うぇ私にはやっぱりだめだ と、ここで早くも軽く泣きが入ります。
 それから鎮静剤を打ちベッドに横になり、何も無いことを願いつつDr.が入室するのをドキドキしながら、よだれを垂らして待ちます。そして、マウスピースを口にくわえ、カメラが挿入されます。(ToT)

 しかし、私の場合ここでも ぐぇ・・・うぇ・・・と、診察台の上をのた打ち回りながら涙を流してDr.に訴える羽目になるわけですが、そんな訴えを聞いていただける訳も無く、とにかく胃の中までカメラは進められます。喉元さえ過ぎれば後は覚悟を決めて十二指腸の重くなる感じとゲップを我慢しながら、検査終了まで静かにするしかありません。
 しかし、順調に終わりそうだったのに胃が荒れていることを見つけられてしまい、生検鉗子で“ぶちっ”・・・わ、私の胃をむしっていった〜!!(胃の中なので痛くはありませんが、引っ張られる感じはわかります。)
ともあれ、無事に検査は終了しカメラが食道を通過して口から出た瞬間の開放感。う、うれしい。終わった〜!(^o^)丿
 その後は、全身の脱力感と共に夢の世界をしばらく体感して、現実に引き戻されることになります。
 ナンマイダブ ナンマイダブ (-。-)y-゜゜゜  
 (今回も飲みすぎだけだった。よかった。)

 

 私は患者様には「近頃の胃カメラはずいぶん細径になり、飲みやすくなりましたよ」と言いながら、自分ではこのように毎年苦しみながら飲んでいますが、吐き気は個人個人差や病変の有無、体調などのいろいろな因子によって、その程度が変わる為、私も全く吐き気を覚えないときもあります。
 でも、やっぱり早く経鼻内視鏡やカプセル型胃カメラのような、苦しみの少ない検査器具が病院に完備されることを切に願っています。院長先生、何卒宜しくお願いします。 m(_ _)m

 さて、内視鏡検査で病変が発見されるとそのポリープや潰瘍、出血等の治療に高周波焼灼装置(電気メス)、アルゴンプラズマレーザー、超音波内視鏡などの電子医療機器を使用した治療や、バルーンやステントなどによる拡張術などを施行することになります。当然、検査・治療中の監視用に心電図やパルスオキシメータ、血圧計なども使用します。そのほかにも、胆嚢摘出術で使用する腹腔鏡など内視鏡室にはカメラだけかと思いきや、意外に面白いものや他科で利用できそうな物が並んでいますよ。これらの話は次回機会にとして、一度皆さんの病院の内視鏡室を覗いて見てください。意外と何かの良い物が見つかるかもしれませんよ。(それとも、検査を無理やり勧められるかも)

 と、言うわけで皆さんも内視鏡室を覗いて、楽しく苦しい内視鏡検査を受けてみませんか。今ならもれなくティシュペーパがついてくるかも。