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2月号
 
 

鳴った時には・・・

 

 大寒を越え風邪の季節も徐々に通り過ぎ、いよいよ花粉が舞い散る季節を迎えようとしていますが、皆さん体調はいかがでしょうか。ここ数年私自身は、寝込む程の風邪も引かず安楽な生活を送っているのですが、子供はどこからか風邪を貰ってきて発熱、入院となります。そんな時は輸液ポンプのお世話になるわけですが、子供はおとなしく寝ていません。少し熱が下がると院内を散歩したがります。(大人でも同じ風景を見かけることがありますが・・・)

 そこで気になるのが輸液ポンプの動作時間です。院内を遊び回って(検査に回って)、バッテリーアラームが鳴って困っている患者様や付き添いの方に「バッテリーはどれ位充電すればいいの」と、質問された時に皆さんなら何と答えますか。

 皆さんご存知のことと思いますが、輸液ポンプの取扱説明書にはバッテリーの充電時間と連続使用時間は書いてありますが、何分充電すると何分使えるのかは書いてありません。

 これでは患者様に十分な説明をすることが出来そうにありませんね。そこで、私が輸液ポンプで実験したバッテリーの充電時間とポンプ稼働時間の関係を参考にしていただき、この難問を切り抜けてください。

実験はT社製の輸液ポンプ2機種について行いました。
実験方法は、一定時間充電後に流量25ml/hでバッテリーアラームが鳴るまでポンプを稼動し、その稼働時間を計測して充電時間との比を計算しました。
また、充電時の輸液ポンプの状態は次の3通りとしました。

 @. 電源を切った状態で充電する。
 A. 電源入れたまま動作させずに充電する。
 B. 流量25ml/hで稼働させたまま充電する。

その結果、2機種3通りともほぼ同様な結果が得られ、次のような結論に達しました。
それは、輸液ポンプは充電時の使用状況がどのような状態であっても、充電時間の4割程度の時間しか輸液ポンプは稼働しない ということです。
つまり、1時間ほど充電しても再度バッテリーアラームが鳴るまで24分くらいしか動作しないのです。

 ですから、先の質問の答えは、「バッテリーアラームが鳴った時にはダッシュで部屋に帰り、子供が泣いてせがんでも最低1時間程度は充電をしないとトイレにさえ安心していけませんよ。」と、いうことになります。
 泣いた子に勝てる親はいませんが、鳴ったアラームに勝つ為には常にバッテリーを充電しておくことが大切なようですね。
 
 追記:この実験は新しいバッテリーを搭載した輸液ポンプで実験したもので、バッテリーが古くなると当然稼働時間は短くなりますし、メーカーや機種によっても多少異なってくると思いますので御自分の病院で使用している輸液ポンプで確認してください