手術に関する施設基準について
以前は、手術はどこで行っても使用した材料などの値段の違いこそあったものの、手術そのものの値段は、どこの病院で行ってもすべて同じでした。しかし、2002年春に「手術に関する施設基準」が設けられ、その内容は「医師の経験年数及び症例数が基準に満たない場合は30%減算する」というものでした。
これは、以前より症例数が多く安定した施設にとっては痛くも痒くもなく、これからちょっと始めて見ようかな?と軽い気持ちで参加しようとする施設を抑制しようとしてるのか?と思われた措置でした。この点では、施設ごとの技術水準を高めるのにも役立ちそうな気がしましたが、実は、症例数が境界線上の施設にとっては、実に微妙な状態で「もう少し頑張れば、基準に達するので頑張りたいが、症例数が増えれば増えるほど、今の段階ではマイナス分が増えてしまう」と、いささか葛藤が発生してしまう状態でした。
そこで、2004年度から改正された内容では、「医師の経験年数が満たされていれば、加減算なし」、更に「症例数が満たされれば5%加算」と、やりがいが出るような制度に改変されました。ただし、「医師の経験年数が満たされない場合は30%減算」となっています。
尚、前述の条件の他にも1.当該手術の過去1年間の実施件数を院内に掲示することや、2.手術を受けるすべての患者に、手術内容、合併症、予後等の説明を文書を用いて行ってること、という条件を満たさなければ、やはり30%の減算となり、より患者自身が病院を選びやすいような制度にされています。
この施設基準ですが、身近な手術では
冠動脈、大動脈バイパス移植術及び体外循環を要する手術
(いわゆる開心術)
(CABG)
当該手術に関し、10年以上の経験を有する医師1名以上
年間100例以上
臨床工学技士が1名以上常勤
経皮的冠動脈形成術、経皮的冠動脈血栓切除術、経皮的冠動脈ステント留置術
(PTCA)
(DCA)
当該手術に関し、10年以上の経験を有する医師1名以上
5年以上の心臓血管外科の経験を有する医師が1名以上常勤
(ただし該当する医師が常勤する保険医療機関との連携でも可)
年間合計100例以上
臨床工学技士が1名以上常勤
などがあり、我々臨床工学技士が重要な役割を果たしていることが分かります。 |